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コアラどきたぬきどき
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目指すは「精神的に健全なブログ」
…いやいや、読めば元気になるブログをめざして。
人生、楽しんだもの勝ちですってよ。
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司馬遼太郎『峠』

2015/11/08 23:59
(――自分が)
という気持ちがある。
自分以外に,人の世を救えぬという孤独さと悲壮感が,
この陽明主義にとりつかれた者の特徴であった。
自分のいのちを使える方法と場所を,
自分が発見しなければならない。
そのことが常に継之助をいらだたせている。


武士の廉潔をまもるか,
惻隠の情という人間倫理の原理に従うべきか,
その両原則がたがいに相容れぬ矛盾として
そそりたっているだけに,この場合の判断が容易にできぬ。
「人間万事,いざ行動しようとすれば
この種の矛盾が群がるように前後左右にとりかこんでくる。
大は天下の事から,小は嫁姑の事にいたるまで
すべてこの矛盾にみちている。
その矛盾に,即決対処できる人間になるのが,俺の学問の道だ」


愚考いたしますに,人というものが世にあるうち,
もっとも大事なのは出処進退という四つでございます。
そのうち,進むと出ずるは上の人の助けを要さねばならないが,
処ると退くは,人の力を藉らずともよく,自分でできるもの。
拙者がいま大役をことわったのは退いて野に処る,
ということで,みずから決すべきことでござる。
それをそのようにふるまって帰ったまでのこと,
天地に恥ずるところはございませぬ


継之助は平素,
――無能者は,罪悪である。
と考えている。一藩の運命を担っている藩重役たる者が,
めざましい世界観を持たず藩の今後をどうすべきかの方途ももたず,
その日暮らしに暮らしている,というのは盗賊の罪より甚だしい。




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藤沢周平『遠方より来る』

2015/11/01 17:02
喰うためには,何かしなければならないだろうが,
それは城に雇われている人間も一緒である。
家もなく妻子の煩いもないというのは
気楽なものかもしれないと思った。

ただ人は,その孤独に堪えられないときがあるだろう。
曽我平九郎が,この家に立ち寄ったのもそういうことで,
いっとき人恋しかっただけかもしれぬ。

そう思うと,平九郎がどこか日の当たる道を,
のんきな顔でのそのそ歩いている姿見えてきて,
甚平は一瞬羨ましい気がした。

藤沢周平『遠方より来る』

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元村有希子『気になる科学』

2015/03/02 00:03
うつにならないためには、
愚痴が言える誰かをキープしておくことだ。
メールでも電話でも食事をしながらでも
「あのね、今日さ」
と愚痴れる友達や家族がいれば大丈夫。
少々の失敗も
「それがなんぼのもんじゃ」
という気持ちになれる。
そして、よく食べてよく眠ること。
つらい時ほど「わはは」と笑ってみることだ。
もう一つ大切な資質は「いい加減」。
真面目で完璧主義な人ほど、うつに負けやすい。
失敗したら「まいっか」、うまくいったら「さすが」と
自分をほめてあげるお調子者でいくのが、
この生きづらい日本の世間を渡るには都合がいい。

医者に限らない。主婦の務め、
社会人の務め、親の務め……。
なんとなく義務的な語感が漂う
「務め」という言葉は、
私達が忘れつつある美徳の一つかもしれない。

まず予言があり、それを信じて探す。
実験は宝探しに似ている。
トレジャーハンターたちは、それこそ夢中になって、
神の粒子をおいかけてきた。
そのフィナーレがすぐそこだ。
そんな興奮も伝えたくて、発表日の午後、
翌日の朝刊のメニューを決める編集会議に勇んで参加した。
ヒッグス粒子とはそもそも何か、
その役割は、検出方法は……とプレゼンしたが、
居合わせた全員がぽかんとしている。
ややあって、主催者が口を開いた。
「すごいことはなんとなくわかるが、わからんな」
「それでいいんです!」と私。
「で、その発見はなにか役に立つのか」
「何の役にも立たないですが、心が豊かになります」
座がどっと沸き、「なるべくわかりやすく書いてね」
との主催者の一言で会議はお開きになった。

19世紀のイギリスで電磁気学の基礎を築いたファラデーは、
数多くの人を魅了する実験でも知られたが、
ある婦人から
「そんな役に立たないつまらないことをして何になるのですか?」
と聞かれ、こう問い返したという。
「生まれたばかりの赤ん坊が、何の役に立つというのですか?」


気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
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浅田次郎『天切り松闇がたり 昭和俠盗伝』

2014/12/09 23:49
「戦というものはどれも、外交の不始末によって起こるものじゃ。
せぬに越したことはなく、いわんや好んでするものではない。
なぜであるかは、わかるか」

松蔵はにべもなく答えた。
「勝とうが負けようが、人が死にやす」

元帥はゆったりと肯いた。
「百点ば、くれちゃる。勲章は山ほども頂戴しておるが、
すべてそこの手文庫にお納めしてある。好きなようにせよ」



「勲は、軍服の胸に飾るものではない。
 しっかと男の胸に括りつけよ。
 目に見えるお宝など、たかが知れちょる」
この人は、軍神という二つ名を
胸にくくっているのだろうと松蔵は思った。
だからこそ、勲章の値打ちなど信じていないのだ。



「おはん、字は読めるか」
「難しい字は読めなくたって、そこに書えてある文句は存じておりやす」
「読んでみよ」

皇国の興廃この一戦に在り
各員一層奮励努力せよ

「健闘を祈るぞ、天切り松」
口に出して読んだ言葉の重みに、松蔵はしばらくの間、
身じろぎもできずに佇んでいた。



常識だの良識だのてえもんは、
教えられるんじゃあなくって、
娑婆の苦労で身につけるもんだってことよ。
今の人間はどいつもこいつもそれを忘れてやがる。



天切り松闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗伝 (集英社文庫)
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工事の合間に

2014/12/05 00:15
「いい会社だよぉ」
と工事に来たおじさまたちに言われた。

入社以来、ずっとやりたいと思っていた実験環境整備のひとつが、
今週から着工して少しずつ形になろうとしている。
関係者調整の面倒なことはこの上ないが、
(だから大げさな工事にふくれあがっている)
ふと振り返ると、ずっとやりたいと思っていたことを
担当者として一線でできているわけで、この境遇は
ありがたいんだなぁと思った。

で、工事の合間の休憩時間にそんな話になった。
同じ会社にいて他社はわからないし、
世間的に何がふつうなのかよく知らないが、
「俺らには、きつくあたられる会社もある。上から目線で」。

「この会社は人を大事にする。創業者がそうだもんな」
そうなんですかねぇ。
もはや普通の感覚なので、なんともわからないんだけど。

所属しているところを褒められて悪い気はしない。
そんなこんなで、今日は賞与支給日。
なんだかおだてられている気がしなくもない。

ともかく工事はあと1日で終わり、
また来週から猛然と実験の日々が始まる。
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藤沢周平『竹光始末』

2014/11/25 22:48
−−しかし、気楽は気楽だろうな。
と思った。
喰うためには、何かしなければならないだろうが、
それは城に雇われている人間も一緒である。
家もなく妻子の煩いもないというのは
気楽なものなのかもしれないと思った。
ただ人は、その孤独に耐えられない時があるだろう。
曽我平九郎が、この家に立ち寄ったのもそういうことで、
いっとき人恋しさかっただけかもしれぬ。


 藤沢周平『遠方より来る』
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藤沢 周平


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田中耕一『生涯最高の失敗』

2014/11/10 23:09
新しいことに挑戦する場合、失敗がつきものです。
そのようなときに、失敗を重ねても、
つぎにまた挑戦しつづけるためには、
誉めて育てる「加点主義」を採用する必要があると思います。
「今回は、結果自体は失敗に終わったけれども、
 きみの研究に対する取り組み方は良かったよ」
と励ますのです。


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田中 耕一


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